「骨組みの力学」 as Final Stage of “必修科目としての構造力学”
力のつり合い条件をもとに、静定構造物を学び、変形の適合条件をもとに 不静定構造物を学んだ後、「骨組みの力学」では、実際的な建築構造物を対象 として、高次不静定構造物を学ぶ。
建築学において、必修科目とされている。 勉学の目的は、2つに分類され、一つは高次不静定構造物の解法および計算 手法を学ぶこと、他の一つは、高次不静定構造の力学特性を理解して、デザイ ン、計画のための基礎知識を得ることにある。 前者においては、たわみ角法、固定モーメント法、D値法等、を理解し、 計算プロセスを組み立て、演算を行うことで、構造物の力学特性を表わす数値 の意味を知る。
後者においては、演算結果を比較することにより、部材の強度・剛性と架構 の力学特性を関連づけ、ラーメン構造、チューブ構造他、立体架構において、 それぞれの構成部材が全体構造の中で機応する状況を学ぶ。
一級建築士資格取得を目的とする場合、現状では上記2つの項目を目的とす ることで十分と思われるが、演算プロセスは近年のパソコンの進化、普及にと もない、手計算の労を要することはほとんどない。
又、CAD、CAEと表され るスキルにより、建築計画、デザインの結果として得られる創造物から、その まま構造体を抽出し、かつその強度特性を検討することが可能となっている。
このことから、「骨組みの力学」において、パソコンを利用することを前提とし た構造技術、計算手法を学ぶことは、必要不可欠と考える。
講義においては、マトリクス構造解析法を紹介し、剛性マトリクス、荷重ベ クトル、変位ベクトルを構成するとともに、支持条件に基づくマトリクス式の 変換を説明、結果として得られる連立方程式を解くことで、パソコンに委ねら れる演算プロセスを経験する機会が設けられる。
受講者は、数学を用いて、ひたすら計算し、結果として得られる解が、構造 力学の知識に合致することを確認するわけであるが、このことで、演算部分を パソコンに委ねる意味を理解する。